フットケア/講師紹介

社会背景

高齢者の増加に伴い視力の低下や握力の低下。加齢や病、体型の変化等により身体が思うように動かすことができなくなり足の爪切りや足の保清など、日常生活における基本的なセルフケアが困難となる高齢者が増え感染症のリスクや転倒の恐れが高まることが懸念されます。


厚生労働省の調査によると、令和3年には65歳以上の人がいる世帯のうち、夫婦のみの世帯が32.5%、単独世帯が29.8%を占めており、特に単独世帯の高齢者は、周囲の支援を得にくい状況にあります。2040年には単独世帯の割合が約40%に達すると予測されており、この状況はますます深刻化するでしょう。例えば、視力が低下した高齢者が小さな爪を切るのが難しく切りすぎたり怪我をしてしまうリスクなどが高まるといったケースが考えられます。


足のお手入れが行き届かないことで高齢者の自立生活を阻害し、フレイルや介護が必要となる状況を早める可能性があり社会全体の介護負担増につながることも懸念されます。また、日本は人口減少や地域格差が深刻化しており、地方においては、足のお手入れに関する専門的なサービスを提供できる環境が十分に整備されていないという課題も抱えています。これらの問題を解決するためには地域包括支援センターや介護支援専門員など地域における高齢者の足の健康を増進させるための連携強化も不可欠でもあります。また、フットケアができる人材の養成や高齢者に限らず子どものうちから足のお手入れに関する情報提供の充実も求められています。



糖尿病と足

厚生労働省の調査によると日本人の10人に2人が糖尿病を患っており糖尿病を有する方は非糖尿病の方と比較して、アルツハイマー型認知症は約1.5倍、脳血管性認知症は約2.5倍になりやすいことがわかっています。これらの症状等によっても、足に傷ができても痛みを感じにくくなったり、視力低下により傷に気づきにくくなったりするなど足病変のリスクが高まります。

例えば糖尿病の合併症である神経障害により、足に傷ができても痛みを感じにくくなり、気づかずに放置してしまうことがあります。それが悪化すると壊疽に至り、最悪の場合足を切断しなければならない事態に陥ることもあります。特に、独居の高齢者や、家族とのコミュニケーションが円滑でない高齢者は、足病変に気づかれずに放置されるリスクが高く生活の質の低下や医療費の増大につながる恐れがあります。



爪白癬

日本人の5人に1人が足白癬、10人に1人が爪白癬という統計があります。足白癬によるかゆみは睡眠の妨げとなり、集中力の低下にもつながる可能性があります。現行法では、爪白癬と診断された爪のケアは医療行為とみなされており、介護士が安易に行うことができません。このため爪白癬に悩んでいる施設や在宅で暮らす高齢者は適切なケアを受けられずに痛みや不快感と闘い続けているのが現状です。爪白癬や足白癬にならないように常々備えることが大切だと思うのです。そのためには、子どもからお年寄りまで爪白癬や足白癬の予防(備え)方法について正しい知識をもつことが不可欠なのではないでしょうか。



より良い状態に足部や足爪を整えておくことで

足部や足爪を適切な状態に保つことは単に見た目を良くするだけでなく、健康な生活を送る上で非常に重要です。足の爪を適切な長さや形に整えることで、爪周りの皮膚へのダメージを最小限に抑え、痛みや感染症を予防することができます。また、身体の重心バランスを安定させることで快適な歩行や立ち上がり等をサポートします。さらに、足を清潔に保つことで白癬菌による足趾間の痒みなどを防ぎ、夜間の安眠にも導きます。足は私たちの身体を支える土台であり、様々な動作の軸となる部位です。足部や足爪の機能を最大限に活かすことは、全身の健康維持に繋がります。





フットケア講師紹介

阿邊 里恵

footcaregiver本部認定講師

一般社団法人ひときたしゃべる代表理事

訪問フットケア&コミュニティフットケアサロンフットスタースマイル代表者


中学生の頃から家族の介護を経験し介護の道へ進み介護福祉士、相談員、介護支援専門員として特別養護老人ホーム等で高齢者の直接的な介護や相談支援に携わってきました。その後ネイルサロンやドイツ式フットケアサロンでの経験を活かし、2018年に訪問フットケアサービス『フットスタースマイル』を仙台市で開業。2021年新型コロナウィルスをキッカケにコミュニティフットケアサロンをオープン。宮城県内の山間部や沿岸部など、幅広い地域の施設やご自宅に訪問による足の爪切りなどのフットケアを提供しています。また、これまで全国各地の介護事業所様や医療法人様へフットケアや足の爪切りの研修講師も務めてきました。社会の一員として、高齢者並びに子どもたちの未来のQOLの向上にも貢献したいと考えております。



footcaregiver本部認定講師

高齢者フットケアスペシャリスト

介護福祉士

保育士

介護支援専門員

旧ホームヘルパー1級

JNAジェルネイル検定上級

ネイル検定2級

フットケア衛生管理士

巻爪補正法B/Sスパンゲ取扱者

仙台市認知症キャラバンメイト

日本足病医学会会員

2019年より宮城県内のご自宅や高齢者施設に訪問による足の爪切りなどの訪問出張フットケアサービスを展開。介護福祉士や介護支援専門員の経験があることで訪問先でご相談を受けることもあります。


コミュニティスペースでフットケアサロンを2022年オープン。おじいちゃんでも床屋さんのように気兼ねなく来れるサロン創りをしています。